明星大学

MESSAGE

人文学部(現:心理学部)心理学科 4年
佐藤芳知さん

教師は人間力が必要だと思います。高校生なら勉強と部活動などの課外活動に必死で取り組むことで、それが近い将来に生きてきます。私の場合、小学校 2年から高校 3年まで、サッカーに打ち込みました。そこで忍耐力、精神力を身につけることができたと思います。サッカーの朝練に比べれば、早起きして勉強することは易しいし、何かを途中で諦めることは考えられない選択でした。さまざまな経験の引き出しを持ちながら、理想の教師をめざしてください。

教師になるために、心理学を学び、
小学校教員免許プログラムに参加

社会人学生と学ぶスクーリングに手応え

小学校時代の担任の先生が厳しくも温かい先生だったことや、母親が中学校の音楽教師で、生徒たちに慕われている姿を間近に見て、教師を将来の自分に重ねるようになりました。高校に進学すると母親から「教師になるなら心理学を勉強してね」と言われました。いまの教育現場では、特別支援を必要としている子どもたちをはじめ、さまざまな家庭環境で育った子どもたちを理解するため、心理学の勉強が必要なのだと話してくれました。

小学校教師をめざす場合、教育学部に進学するのが一般的ですが、自分の強みを持つためにも心理学を専攻しようと決断。明星大学は教育分野では有名ですが、心理学を専攻することもでき、さらに小学校教員免許が取れる小学校教員免許プログラムがあることを知り、進学を決めました。

大学に入学した 1年目は心理学科の勉強に打ち込み、1年の終わりに小学校教員免許プログラムの選考試験に挑戦。面接では、 3年間、学部と並行して勉強する覚悟を問われました。実際、安直な気持ちでは、その後の勉強の持続は難しいと思います。

2年生になるとプログラムの勉強がスタートします。ふだんは自習をしながらレポートを提出し、土日の休日や長期休暇にスクーリングや試験を受けます。授業科目は 30科目に及び、介護等体験や教育実習もあります。すべてをやりきるには、時間管理を徹底し、朝早く起きて教科書を読み、授業の合間の時間を利用してレポートを書きました。スクーリングは、幅広い年齢層の方や現役の中学校の先生と一緒に学びました。グループディスカッションでは、社会人の方のものを見る視点やコミュニケーション力を垣間見ました。とくに「生活」や「道徳」といった科目では、自分の考えの浅さを痛感。スクーリングは最も手応えを感じる時間でした。

3年生の3月になると、教員採用試験に向けた勉強を開始しました。授業がある日以外は朝9時から夜9時まで、図書館にこもって勉強しました。教育実習では盛岡の母校の2年生を担当。繰り上がりの足し算をカードを使って、視覚で理解できるように教えました。1週間もたつと「今日は面白かったよ」とか「面白くなかったな」など邪気のないリアクションが返ってきて、子どもたちの率直さに触れました。教員採用試験は東京都と岩手県に挑戦。見事、両方に合格することができました。

一方、学部では 3年生になると、ゼミで発達臨床心理を研究し、卒業論文は自閉症の子どもたちの学習について考察しています。教師として、家庭環境も個性もさまざまな児童たちのなかでの学級運営は簡単ではありません。子どもたちの背景を知り、柔軟に考えられるような素地をつくったつもりです。例えば、いじめや不登校は、目に見える要因だけではない場合が多く、心理学を勉強しなければ「なんでそんなことで躓くの?」と平気で言っていたかもしれません。とくに現代の教育現場の問題については、私たち世代がしっかり勉強して、現場に還元する必要があると思います。

卒業後は、地元の盛岡に帰ります。障がいをもつ子どもたち、一人親家庭、社会的な弱さをもつ子どもたちへの理解を深めながら、すべての子どもたちが「学校生活は楽しい」と言える学級運営をしたいと考えています。