南山大学

議論や協働プロジェクトを行う
新しい学習スタイルの「COIL型授業」

南山大学が文部科学省「大学の世界展開力強化事業」に採決され、 2018年から進めている「 COIL型授業」の「 COIL」とは「 Collaborative Online Internasional Learn -ing」の略称で、オンラインを活用した国際的な双方向の教育手法を意味する。

オンライン授業といえば、離れた場所の講義風景をビデオやライブ映像で一方向に流す方法が一般的だが、「 NU-COIL」は、主にアメリカの協定校の学生と日本の学生が SNSやLMS(Learning Management System)でやりとりできる授業の仕組みを構築した。

この授業では、日米双方の学生が 10数名ずつ LINEや facebookなどの SNSでつながり、海を超えて議論を行いながらプロジェクトを進めていく。作った資料を日本の学生が送ると、アメリカの学生から意見が返ってくる。双方の発言や送信の内容は、日米の担当教員が見守りながら必要に応じて適切なアドバイスを行う。こうして、学生は教室にいながらアメリカの学生との間で、外国語や日本語を駆使しながら密な交流を行う。 

3段階に分かれた COIL型授業はまず1年次の「ベーシック COIL」で、文化交流や言語交流の基本を学ぶ。英語コミュニケーションの初級者向けに、友だちや留学先で互いを支援しあう「バディ」をつくることを目的に置く。こうすることで学生がスムーズに留学できるように導いている。

その後に学生は、既存プログラムおよび COIL導入によって新設された留学プログラムを利用し、数週間短期留学に出ることが推奨される。海外の学生も、南山サマープログラムや教員引率型受け入れプログラムのため来日することから、お互いのキャンパスで実際に顔を合わせる機会を得る。

この経験をベースに、外国語運用能力を向上させ、3年時の秋に交換留学に行くことを勧めている。出発は翌年の夏のため、それまでの間の準備として受けるのが2段階目の「アカデミックCOIL」の授業だ。「アカデミック COIL」では、日米両国の政治、経済、文化など、留学先で専門的な勉強をするために必要な知識について、 COIL型授業で学習する。留学した際に文化背景の違いに戸惑わず、自ら積極的に現地の学生たちに混じって学ぶことができるスキルの獲得を目指す。そうして準備を終えた学生は、3年次の8月には、約1年間の長期留学に出発する。 

帰国後の4年次秋からは、3段階目としてさらに実践的な内容の「PBL(Project Based Learning)COIL」を受講する。これは愛知県内の官公庁や団体、企業から、日米双方の行政やビジネスに関わる課題を提供してもらい、両国の学生が協力してリサーチ、議論のうえで解決策を提案するというもの。課題を出してもらう企業や団体は、大学の近くにある組織を重点的に選んでいるため、受講者にとってその後のインターンシップや就職にもつながる体験ができる。

全学生が参加できるプログラムを目指して

南山大学は昔からアメリカの大学への留学に強いことに定評を持ち、交換留学の提携校は約 40大学がある。今回の「 NU-COIL」プログラム開始当初にはそのうち8校が参加した。スマートフォン1つあれば特別な設備や機器も必要がないため持続、展開も容易で、アメリカ以外のヨーロッパ、アジア、オセアニア諸国の大学とも連携を開始している。 

また、理系学部も擁することから、人文社会科学系だけでなく、理系分野での「 COIL型授業」の導入も検討を進める。本格的な留学の前に、オンラインで現地の学生との「顔の見える関係」を構築できることは、一人での海外生活に不安を抱える学生にとって大きな安心材料となるだろう。実際の社会課題をテーマに、海外の学生と議論しながらともに研究し解決の道を探る経験は、実践的な外国語運用力に加えて「異文化の中で力強く生きる力」の養成にもつながるはずだ。

文部科学省 大学の世界展開力強化事業(2018 年度選定) 南山大学取り組み概要
Multi-cultural Exchange Lounge
多文化交流ラウンジ(stella)

多文化交流ラウンジ(愛称:Stella) は、すべての南山大生 が自由に多文化交流を体験できるスペースです。ラウンジでは様々なイベントが企画され、留学生による国紹介など 気軽に参加できるものから、トークセッションなどのアカ デミックなものまで幅広く開催されます。また、学生スタッフ Nanzan International Ambassador(NIA) として、 イベントなどの企画・立案などに携わることもできます。自分自身の興味、関心に合った多文化交流の一歩を踏み出してください。